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【17種類】脳内伝達物質の一覧

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脳内で働き、情報伝達や心身の状態調節に関わる化学物質は「脳内物質」と総称され、非常に多くの種類が存在します。主なものを機能や化学構造によって分類し、一覧でご紹介します。

1. 神経伝達物質 (Neurotransmitters)


神経細胞(ニューロン)間の情報伝達(シナプス伝達)を担う物質です。

  • アミノ酸系
    • グルタミン酸 (Glutamate): 脳内で最も主要な興奮性の神経伝達物質。学習、記憶形成に不可欠です。過剰になると神経毒性を示すこともあります。
    • GABA (ギャバ / γ-アミノ酪酸 / Gamma-Aminobutyric Acid): 主要な抑制性の神経伝達物質。神経の興奮を抑え、リラックス効果や不安軽減に関わります。抗不安薬や睡眠薬の多くはGABAの作用を強めます。
    • グリシン (Glycine): 主に脊髄で働く抑制性の神経伝達物質。
  • アセチルコリン (Acetylcholine): 副交感神経や運動神経の末端で働くほか、脳内では記憶、学習、覚醒、注意に関与します。アルツハイマー病ではアセチルコリン作動性ニューロンの減少が見られます。
  • モノアミン系
    • ドーパミン (Dopamine): 快感、意欲、動機づけ、学習、運動調節に関わる重要な物質。「報酬系」の中心で、目標達成や喜びを感じると分泌されます。パーキンソン病ではドーパミン神経の変性が、統合失調症ではドーパミン系の機能異常が関与すると考えられています。
    • ノルアドレナリン (Noradrenaline / Norepinephrine): 意欲、覚醒、集中力、注意力に関わり、ストレスに対する「闘争・逃走反応」にも重要な役割を果たします。交感神経でも働きます。うつ病との関連も指摘されています。
    • アドレナリン (Adrenaline / Epinephrine): 主に副腎髄質から分泌されるホルモンですが、脳内にも少量存在し、ノルアドレナリンと同様にストレス反応や覚醒に関与します。
    • セロトニン (Serotonin): 精神安定作用があり、気分、感情、睡眠、食欲、体温調節など広範な機能に関わります。「幸せホルモン」の一つとも呼ばれます。うつ病や不安障害との関連が深く、多くの抗うつ薬(SSRIなど)はセロトニンの再取り込みを阻害します。
    • ヒスタミン (Histamine): 覚醒状態の維持、睡眠・覚醒リズムの調節、食欲抑制などに関わります。抗ヒスタミン薬(アレルギー薬など)が眠気を引き起こすのは、脳内のヒスタミン作用を抑えるためです。
  • 神経ペプチド (Neuropeptides)
    神経伝達物質や神経修飾物質として働くペプチド(アミノ酸が鎖状につながったもの)です。多数存在します。
    • エンドルフィン (Endorphin) / エンケファリン (Enkephalin): 内因性オピオイドとも呼ばれ、モルヒネのような作用を持ちます。痛みの抑制(鎮痛作用)や気分の高揚(多幸感)を引き起こします。「脳内麻薬」とも言われます。
    • サブスタンスP (Substance P): 痛みの情報を伝える役割を担います。
    • オキシトシン (Oxytocin): 社会的な絆、愛情、信頼感、共感などに関わることから「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれます。出産や授乳にも関与します。(神経ホルモンとしても働きます)
    • バソプレシン (Vasopressin): 抗利尿作用(尿量を減らす)、血圧上昇作用のほか、記憶や社会的行動(攻撃性、縄張り意識など)にも関与します。(神経ホルモンとしても働きます)
    • ソマトスタチン (Somatostatin): 成長ホルモンの分泌抑制、神経活動の調節などに関わります。
    • ニューロペプチドY (Neuropeptide Y): 食欲亢進、エネルギー貯蔵、不安軽減、ストレス応答の調節などに関わります。

2. 神経修飾物質 (Neuromodulators)


神経伝達物質のように直接的な情報伝達を行うのではなく、シナプス伝達の効率を変化させたり、広範囲の神経細胞に影響を与えたりして、神経活動を調節する物質です。上記神経伝達物質の多く(特にモノアミン系や神経ペプチド)は、神経修飾物質としても機能します。

  • アデノシン (Adenosine): 神経活動を抑制し、眠気を誘発します。カフェインはアデノシン受容体をブロックすることで覚醒作用を示します。
  • 内因性カンナビノイド (Endocannabinoids): アナンダミドや2-AGなど。食欲、痛み、気分、記憶、免疫応答などを調節します。大麻の有効成分THCが作用する受容体(CB1受容体)に結合します。

3. 神経ホルモン (Neurohormones)
神経細胞(主に視床下部)で作られ、血中に放出されて、遠隔の標的器官に作用するホルモンです。

  • 上記のオキシトシンバソプレシンも含む
  • 視床下部ホルモン (Hypothalamic hormones): 下垂体ホルモンの分泌を調節する放出ホルモンや抑制ホルモン。(例: 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)など)

まとめ

  • ここに挙げたものは代表的な脳内物質であり、実際にはさらに多くの種類が存在します。
  • 一つの物質が複数の役割を持っていたり、神経伝達物質・神経修飾物質・ホルモンとして複数の機能を持っていたりすることがあります。
  • これらの脳内物質は単独で働くのではなく、互いに複雑に影響し合いながら、私たちの思考、感情、行動、身体機能などをコントロールしています。

この一覧が、脳内物質の多様性と役割を理解する一助となれば幸いです。

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