物語の構成とは
文章構成とは、書かれている文章を読み手に伝わりやすくするために、伝える順番を明確にしたものです。
映画や、小説、アニメなどに至るまで、物語には必ず使われている技術です。
そんな文章構成は主に2種類あります。
- 序破急(じょはきゅう)
- 起承転結(きしょうてんけつ)
序破急とは
序破急とは、日本の芸道などで使用される三幕構成の概念です。
能楽・居合道・茶道・剣術などに用いられています。
芸道以外にも、文章構成や映画、ドラマ、アニメでの脚本構成に三幕構成としてよく使われています。
序破急は物語などを3部の構成それぞれ序・破・急に分けて内容が進みます。
序破急の例
ここでは例文で解説します。
序:物語の導入部分
物語のきっかけで静かに始まります。
物語が始まる前の概要などの前提情報をこの序で表現します。
世界観・登場人物・文化などを簡単に説明するのです。
その後、物語の主要な出来事が起き、世界観が判明します。
読者や観客へ物語全体に入る前に必要になる情報を与える章になりますから、大まかな登場人物とその目的などをここで説明することで後の内容がスムーズに伝わります。
冒険小説の場合、この世界はどんなところで、どんな人が主人公で、どんな登場人物や魔物などがいるのかが判明します。
例(モモ太郎)
むかし、むかしあるところに・・・
おばあさん、おじいさんが居て、
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行き、川で巨大なモモを拾いました。
おじいさんと開けたら男の子が入っていたので、モモから生まれた「モモ太郎」という名前を付けて育てました。
破:物語の展開部分
静けさが消えて物語は盛り上がっていきます。
物語の急展開や急な出来事などをこの章で表現します。
主人公にスポットが当たっている場合、乗り越えるべき課題の出現や精神的な葛藤と挫折などもここへ含むのです。
破は物語のメインでもあるので、いかに出来事を起こすかが重要です。
この章は長めに設定されることが多く、ストーリー構成で面白くなるシーンでもあります。
また、伏線などが張られていることが判明するのも破となります。
冒険小説の場合、ここで世界の真実が判明し、倒さなくてはいけない魔王がいることがわかり、どうすれば倒せるのか、何が必要なのか、などが判明していきます。
例(モモ太郎)
モモ太郎はすくすく育っていましたが、モモ太郎が育った村にはある問題があったのです。
それは村の資産を鬼たちに持っていかれることでした。
モモ太郎はこの鬼を退治するために旅立つことにしたのです。
旅立つ前、おばあさんは道中に食べられるキビ団子を持たせました。
道中、モモ太郎はイヌ、サル、キジにキビ団子を与え仲間にしました。
急:物語の結末部分
物語の終盤に差し掛かり急展開になり終了します。
結末部分である急は、破で抱えていた課題や、挫折を味わって強くなった登場人物などが表現されます。
様々な問題を解決し、物語を終わらせる段階になるので、あらゆる情報の答え合わせなどもこの章で行います。
冒険小説であれば、ここでラスボスである魔王を倒して世界が平和になる、などで締めくくられることが多いです。
最終地点であるため、最重要な章でもある急では、感動的な結末なのか印象的なのかなど表現方法で物語のイメージが覆りますから、エンディングを迎えるにあたって伏線の回収やすべての謎が解き明かされるなどサプライズ演出も必要となるのです。
例(モモ太郎)
モモ太郎とイヌ・サル・キジは鬼の住む鬼ヶ島へ到着し、鬼たちと戦い勝利を収め、盗まれた資産を取り戻し村へ帰りました。
起承転結とは
起承転結とは、日本の物語などに用いられる四行構成の概念です。
物語の構成を作る部分でよく使う表現方法で、現代ではストーリー構築を考案するうえで読者へ対して伝わりやすい話し方や書き方の基礎として定着しました。
起承転結の考え方は仕事におけるプレゼンや物事の経緯説明などにも役立ちます。
状況・起こった出来事・変化した出来事・結果などをわかりやすく伝えるための手段として現代のビジネスシーンでもよく使われています。
起承転結を詳しく
同じく例文で解説します。
起:物語の導入部分
話のきっかけとなる内容や概要などを説明する部分です。
話の全体像を相手に伝えて、どのような出来事が起こっているのかなどを簡潔に説明し、相手へこの話の全貌を理解してもらいます。
出来事と登場人物はこの章で伝えます。
冒険小説の場合、世界観と登場人物が表現される部分です。
例(浦島タロウ)
ある日、浦島タロウが海辺を散歩してると、大きなカメがいじめられていました。
浦島タロウは、いじめを辞めさせ、カメを助けたところカメに恩返しをしたいと言われました。
承:物語の展開部分
話の問題点や課題、起こった出来事を具体的に伝える部分です。
話の核心へ入る前に詳しい出来事の内容を説明します。
何が問題で、だれがどうなっているのか、などを詳しく伝えて理解してもらいます。
冒険小説の場合、世界の人々の生活やこの世界で何をすべきなのかなどを伝えます。
例(浦島タロウ)
カメは浦島タロウを背中に乗せて海へ潜り、カメたちの古郷である竜宮城へ案内しました。
そこで浦島タロウは盛大にもてなしを受けました。
転:物語の一転部分
話の本題で、何をすべきなのか、誰がどのように行動すればよいかなどを伝える部分です。
話の核心を伝える部分で、どうすれば問題が解決するのかなどを議論します。
解決方法や誰が何をするかなども具体的に決まります。
冒険小説の場合、世界を平和にするためにはラスボスである魔王を倒す必要があることがわかり、そのためにはどうすればいいのかなどを解明します。
例(浦島タロウ)
時間を忘れて楽しんだ浦島タロウは、そろそろ地上に戻ろうとしたところ、竜宮城の責任者であるオトヒメからタマテバコというものを受け取り、地上に戻りました。
結:物語の終末部分
話の結末で、行動した結果どうなったのかを伝える部分です。
問題解決のために必要な行動と方法を実行しどうなったのかを説明し、その結果が良かったのか、悪かったのかなどをしっかり伝えます。
結末は重要で、すべての答え合わせとなるので結論を伝えて終了です。
冒険小説の場合、ラスボスである魔王を倒し、世界が平和になったのか、その後はどうなったのかなど、物語の結末を伝えて終了となります。
例(浦島タロウ)
地上に戻ると、そこは自分の知っている村とは少し違いました。
知り合いは誰一人おらず、孤独を感じてたところ、タマテバコの存在を思い出しふたを開けました。
すると大量の煙が噴き出し、浦島タロウは、急激に老化しました。
実は竜宮城での時間は地上とは全く異なり、地上に比べてかなり遅く進んでいたのです。
老化した浦島タロウは、本来の年齢になったのでした。
まとめ
序破急と起承転結は物語の規模に合わせて使用されています。
ただ、起承転結の考え方は漢字を使用する日本と中国でしか主に使われてなく、
ヨーロッパやアメリカなどでは3部構成の序破急の方が使われる割合も多いのです。
物語や映画には必ず使われている技術なので、もしも小説や映画を作ろうとしたときには意識してみてください。